あいさつと白々しさにまつわるはなし

学校とか会社とか、 そういうものから離れたところに、 自分の「純粋な」友人を見つけること

これは、大学を卒業したときから なんとなく頭に置いているテーマだ。

見ず知らずの他人に話しかけることは、 どうも、言葉で表現する以上に かなり難しいことのようで、

僕自身、これほどクローズドな日本において あえて表に出そうとするある種の「オープンさ」と 自分の思惑に相手を巻き込もうとするような ある種の「カルト性」、 これらは紙一重だと思っているため、

「海外を見習え」とばかりに 「裸のオープンさ」を主張する人々 のようになりたいとも思っていない。

そんな時

「じゃあ、通勤途中で会う人々に、 (彼らは毎回同じ顔ぶれだから) 『おはようございます』と 挨拶をするところから始めれば、 いつかは会話できるようになるのでは!」

みたいなことをふと考えて、

声をかけやすい 人の好さそうなオジさんから ちょこちょこと 「オハヨウゴザイマ〜ス…」と 声をかけるところから始めてみた。

最初のうちはお互いに微笑みあってよかったが、 しばらく続けて気づいたのは、

挨拶できる距離にリーチするまでに 目が合ってしまったとき、 そこからすれ違うまでの時間、 なかなか気まずい。

それから、 いつも同じ時間に同じ場所で会うとわかっていながら、 さも、「オッス!今日の調子どう?」みたいな 調子をその場で慌てて作って あいさつをするその白々しさに、 僕自身、しんどくなってきた。

いつしか、そのオジさんは 目を合わせてくれなくなったが、 それでいいのだ。

今度、目が合ったら、 微笑んで「どうも」とでも 言ってみよう。