No need to upgrade you きみはアップグレードする必要がない

最近ウェブで面白い画像を見つけた。 女の子が愛犬をぎゅっと抱き締めている、なんともかわいい絵。 (あとで調べたら、タイの漫画家による「マムアン」という キャラクターらしい) そこにはこんなことばが書かれていた。 image

「No need to upgrade you 君はアップグレードする必要がない」

それを見たとき、僕の頭には「尊敬」というキーワードが浮かんだ。 「あぁ、この少女は愛犬のことを『尊敬』しているんだな」と。

尊敬とは、「ありのままにその人を見ることだ」アドラーはそう述べたという。

(おそらく、ありのままにその人を見たうえで、 その良し悪しまでは言及しない、というスタンスのはず。 ただ、ありのままにその人を見る。 「じゃあ、自分には何ができるか」的な思考。)

そして、イラストの少女は愛犬にこれ以上の期待もしない。 「今のあなたが私は大好きよ」 そんな風に言っているようにも見える。

そういえば、ドラッカーの考えについて分かりやすく説明した本 『もしも高校野球の女子マネージャーが ドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら』には、 「尊敬」を思い起こさせることが書かれていた。

マネージャーの川島みなみは、決して他者の弱みに注目しなかった。 (弱みを弱みとして認め、それを改善させることもなく、) ただそれを中和することにのみ、全力を尽くした。 そうした配慮に気づいたチーム一人一人が、 自ら弱みを克服しようとするようになった。

川島みなみはチームのメンバーを「尊敬」していたのではないか。

言葉は違えど、アドラードラッカーも、目の前の仲間を「尊敬」 することを説いたのではなかろうか。

イラストの少女は何かの問題解決の手段を示すものではないから、 「じゃあ、自分はどうするか」ということには踏み込んでいない。

しかし、「あなたはあなたなのだから、わたしはあなたが アップグレードされるべきだとは思わないわ」という、 「尊敬」の核心を、あたたかくも鋭く突いたイラストだなぁと 思って心に残ったのである。