情報発信と打算のあいだ

 「これぞ、メディアに掲載するのに良い瞬間だ」と思って撮れたスナップ写真を実際にメディアに掲載しようとするとき、ちょっぴり引き裂かれそうな思いをする。

 多分、その瞬間はその場にいる人たちのために訪れたのであって、メディア用に訪れたものでも、他の人に見せるために訪れたものでもないことことを知っていることと、メディアに掲載したいと思う打算とが相容れないからだ。打算的にメディアに掲載してしまった瞬間に、思い出が少しシラケてしまうような気さえする。もし仮に掲載に踏み切るとして、それは何だか彼または彼女との信頼の貯金を切り崩すようでもある。