「頑張る」は雨を降らすようなもの

 「頑張る(「無理をする」の手前みたいなもの)」というアプローチはたぶん、野菜作りにおける雨のようなものだ。雨が降らないと野菜は育たないが、雨はまた土壌を酸性に傾ける。土壌の酸性が強くなると野菜の生育に悪影響を及ぼす。

 より良い野菜を作ろうと思えば、石灰を入れて土壌を中和してやる必要がある。また当然のことながら日照時間が足りなくても野菜は育たない。そもそも、土づくりの段階で良い土壌を作っておくことで生育不良を防ぐことができる。そのためには元肥が必要だし、場合によっては追肥も施す。

 「頑張る」というは一つのアプローチに過ぎないのであって、そればかりで良いというものではない。むしろやりすぎは土壌を悪くする。良い作物を作ろうと思えば、よく日が当たるように工夫するとか、石灰を入れるとか、肥料を入れるとか、保水力を高める籾殻を入れるとか、さまざまなアプローチがあって然るべきだーーそんなふうに例えて、すっかり内面化されてしまって意識にも上らない「頑張る」を対象化できればと思うのである。