「学生は暇」にまつわるはなし

「盛岡住んでます。学生です。暇です。」

というトピックが目についた。 「メルカリ」の「ご近所手渡し版」ともいうべき 「メルカリ アッテ」というアプリを ぼんやり眺めていた時のことだ。

(「コミュニティ」という機能があって、 同じエリアに住んでいる不特定多数を対象に 「一緒にどこか行きませんか」とか、 「オススメのカフェを教えてください」とか、 その類のトピックを投稿することができる。)

その下にはコメントがついていた。

「私はおばさんです。勉学に励むのは今しかない。

私はもっと学生時代に勉強していればと悔やんでいます。」

あー、ヤダヤダ。 いや、おっしゃることはごもっとも。

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なぜ、学生は「暇」なのか?

(実際に暇かどうかは それぞれ入学したところのカリキュラム次第なので

そもそも「暇」かどうかすら不明。)

ひとつそう言われる要因がパッと浮かぶとすれば、それは

(誰かに言われてやるものとしての) 「降ってくるタスク」が 高校までに比べれば圧倒的に少ないこと。

すなわち客観的に見た「やらされごと」が 少なければ少ないほど、「暇」だと見なされるし、

件の学生も自らについてそう思っているのだろう。 そりゃそうだ、高校生活が勉強と部活動が中心なら。

ただ、「暇です」と公言できるのは、 彼(彼女)があくまでも

「学生」というラベルと「学校」という所属感

を持っていることで気持ちに余裕があるからだろう。

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ぼく個人の話をすると、 「所属なし・マジで暇」は意外とつらかった。

ぼくはいくつかの事情があって、 6ヶ月ほどの無職(ノージョブ)時代がある。

(ただこれも 「本職」や「ベテラン」の人たちに比べれば、 まだまだ「見習い」クラスのままに めでたく(?)「転職」することになった)

やらされごととしての「降ってくるタスク」が一切ない。

時々内側から湧き出る創作意欲のようなものは、 浮かんでは消え、作ってはガッカリ、の連続だ。

いよいよ、

「自らの存在意義」とか、 「やりたいことは何だろう?」とか、

その類の問い苛まれ始める。

(意地の悪い大人は

「そんなの見つかりっこない」とか 「自分が若いときは」とか、 「時間が経てば解決する」とか、

そういう御託を並べて、 純粋な気持ちを蹴飛ばすのだから、厄介である)

何とか答えを見つけようと、

自分の置かれている状況について、 自分の現状について、 ああでもない、こうでもない、と考えたり、

「これでいいのか」 と問いが浮かべば、

「これでいいのだ」 とバカボンのパパがこんにちわしてきたり、

といった具合にだ。

あまりに暇だったので、 本を読みまくった。 はじめて知ることがたくさんあった。

文章を書きまくったりした。 考えや思いをを言語化するのは、地味だがたのしい。

お金がなければどこにも行けないが、 お金になることに時間を売ってもいない。 どこにも行かなくていいので、 二度寝と昼寝の喜びを味わっていた。

「せめて友達でもつくろう」と、 勇気を出して知らないおばさんに声をかけてみた。 流れで「いま、仕事はしていない」と言うと、 犯罪だけはするな、と諭された。

気づけば、4ヶ月くらい過ぎていた。

残りの2ヶ月を含め、 この「ノージョブ」期間、ぼくはそれこそ スポーツ漬けだった大学生時代にできなかった

受験向けのそれ(=『お勉強』)とは違った

自分なりの「勉学」の基礎を築くための時間を、

取り戻したような気がした。

ぼくは、「暇をもって暇を制した」のだ。

ただこんなのは、武勇伝でもなければ 他の誰かの役に立つとも思わない。

ただ

「結果的に自分のためになった部分もあったかな?」

と思い込んでいるだけで、 そもそもその勉学で生計を立てているわけではないので

「積極的に『暇』を作ったらいい」

などと他人を啓蒙することなど、 ぼくには許されていないのである。

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あと10年くらいすれば、 ぼくも外見から立派なオジさんになれるだろう。

その暁には、

「暇です」という学生に対して

「ぼくはオジさんです。 勉学はその気になればいつでもできると思います。

学生の間にするでも、 仕事を辞めてするも、 仕事をしながらするでも、

勉学は、たぶん、楽しいとおもいます。

ただ、あなたの時間はあなたの時間なので、 ぼくは一切関知しないが、好きにしてください。

P.S. ぼくは音楽が好きなので、一緒にやりたいと思ったら いつでも連絡をください。」

と言えるくらいの余裕をもっていたい。

いやいやいや、 コメントを寄せる時点で余計なお世話だYO!

チェケラッチョ!!