「そろそろ」のはなし

先生は、キレた。

ぼくは、なぜ怒られたのかわからなかったが、わかるような気もした。

「そろそろ」という言葉が、どういうわけか、先生の逆鱗に触れたようだ。

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10年以上前のことだ。

中学の時、どういうわけか（これが思い出せれば楽しいのに…）担任の先生が、ホームルームの時間に怒って職員室に戻ってしまった。

1校時が始まる時刻が迫っていたので、ぼくはなぜか学級を代表して職員室に行って

「あのぉ、もうすぐ1時間目なので、そろそろ教室に戻ってくれませんか？」

とお願いすると、

「『そろそろ』だと⁈ ふざけんじゃねぇ‼︎」

と怒られた。

（結局、それからしばらく先生は戻らず、 1校時は少し短くなったので、みんなで喜んだ。）

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というエピソードを何かのきっかけに思い出したので、改めて辞書で「そろそろ」を調べてみたら、

「その時になりかかったさま」とあった。

先生にしてみれば

「お前らが怒らせたのに、『その時がきた』と勝手に判断するとは何事か？！」

といったところだろうか。

もしくは、あれだ、（今思いついたことだが）

そもそも、ぼくが謝罪から入らなかったことが原因か？

いや、きっとそうだ。