未然に防ぐことは、できない

「何かを『未然に防ぐ』ということはできない」

という言葉がここ最近頭を巡っている。

厳密に言えば、そのニュアンスは

「どんなに対策をしようとも起こるものは起こる」

「その責任を人に問うことも、ヤメだ」

というものに近い。

もし、あらゆる事象が未然に防げるものであれば、

当然、対策が必要になってくる。

しかしながら、起こるものは起こる。

そうなった時に、

「対策はしたのか」と問われるだろうから、

「対策をした」と言えるように、

これ見よがしの形ばかりの「対策」をする。

その対策によって防げるものもあるし、

防げないものも、ある。

対策は防いで初めてその有効性が証明されるのだが、

防いだものは、そもそも起こっていないのだから、

「未然に防いだ」という事実になりようがない。

一方、防げなかったものが表出したときに、

「対策はした。自分は、悪くない」

という風に思い始めたら、

結局は犯人の探し合い、保身の意識がはびこる。

誰が悪いかはどうでもいい。

(誰かが悪いとすればその場にいた全員だ。)

考えなければならないのは、

起こったことに対して、

スムーズにどう対応するかである。

それを冷静に考えるためには、

「誰が悪いか」を問うこともなく、

「自分は、悪くない」と守りに入ることも、

やめなければならない。のだけれども、

「責任の所在を明らかにして犯人を潰す」

という風潮の中では、問題は解決するどころか

どんどん悪化していく。