「敬う」ということ
「『敬』という漢字の意味するところは
『ノータッチ』という性質だ」
というところから始めてみたいと思う。
敬い、遠ざけるなら「敬遠」、
敬い、尊ぶならば「尊敬」、
「ノータッチ」のマーカーとしての言葉は「敬語」。
それぞれ相手の中に
「こちらからみだりに触れない部分」
があることを認める態度としての敬意の上に成り立っている。
逆に、敬意を欠くとは、
相手の全てを把握したような態度をとったり、
相手の領域にみだりに踏み込んだりすることだ。
遠ざけたり尊重したりするのは
その時々や人間関係に任せるとして、
相手の中の「触れることができない部分」の存在を認め、
それをむやみに解き明かそうとせず、
そのままにしておくことができたなら、
「敬う」ということは
意外と難しくないかもしれない。