花を育てるように。

「野菜を育てるぞ!」

と張り切れば張り切るほど、

「毎日キッチリ水をやらなければ」とか、

「この野菜に適した肥料は何か」とか、

「あくまでも有機栽培にこだわるべきか」とか、

そんなことばかりが、数分のうちに頭をよぎるのは

男の性かな、と思う。

つい、気合いばかりが先回りすると

そこに突っ込んだ各種リソース(笑)に対する

リターンとしての成果物(この場合「作物」のこと)

を期待してしまう

(もっと悪ければ、

最初から良いものを、と

あれこれ考えあぐねているうちに

時機を逃してしまう)。


それに対してふと思った。

「花を植える場合はどうか?」

そこに植わっている花たちは

「そこにあること」こそが価値で、

背景として日常を彩ったり、

観察の対象として人の心をひきつけたり、だ。

しばしば「公共の管理物」として

公園や町内の道端に植えられているくらいだから、

おそらく、野菜ほどには手が入らないはずだ。

それでいて、育っていく。

ついでに言えば、

人に対しても、そのようにあれたなら、

ずいぶん楽だなぁと思う。

自分も他人も、「そこにいること」が価値であり、

その育ち方に大きく干渉したりされることもなく、

それでも、おそらくたくましく育つ。

ムッ、たくましくなくとも、なんとか育つんジャね?

…的なね‼︎


畑にいくつか野菜の苗を植えてみると、

花もないのに、

それをただジッと眺めているだけでも

楽しいと思う自分にふと気がついた。

水をやって、ツヤツヤしていると、

植えたばかりの苗ですら

なんだか愛おしく思えて、気づけば

葉っぱをやさしく指でスリスリしている。

そう、「これは花の苗だ!」と思って

気楽にやるのも、アリかもしれない。