フランスの若者も「国酒」離れ

「若者の日本酒離れ」という言葉を聞いて久しいが、 「国酒」の置かれている状況は日本もフランスもあまり 変わらないのかもしれない。それどころか、ほぼ同じかもしれない。

「フランスにおける最近の日本酒事情について」 という論文の中に、フランス人のワイン事情について記述があった。

フランス人、特に若い人たちはワインを飲まなくなっているという。 食中飲料として主に飲むのはミネラルウォーター。 (アルコールでない飲み物と比較するのもあれだけどね)

ワインは「ハレ」の飲み物としての意識が強く、 65歳以上の世代を除いては、習慣的食中飲料として ワインを飲むことはほとんどないのだそう。

さらに若い世代(18~30歳)に関して言えば、 「集飲(分かち合って飲む)」するのはごく一部の「ワインマニア」 だというから驚き。「コミュニケーションの媒介役としての ワインの機能が失われている」とのこと。

同世代はまた、「ワインの世界は『高級で複雑』と敬遠していて、 ワインの選択が容易になるもっとモダンなボトル表示を求めている」 のだそうだ。

30~40歳のグループも、 「ワインの呼称の多様さを面倒と考え、ワインを知るには膨大な知識が必要」だと指摘しているとのこと。

「質」にこだわったり、専門用語でハードルを上げたり、 伝統にこだわって、どんどんプレミア志向にしていけば、 どんどん若い人たちが離れていく、というのは 日本酒に限ったことではなく、もはやそういう 「仕組み」なのかもしれない。