人として/職業人として

先日までとある国家公務員の方が(もちろん仕事で)酒蔵研修ということで僕の職場に研修に来ていた。 学生の頃のビストロアルバイト時代は、初めて来た人と楽しく話をするのが僕の仕事だったようなところもあり、 「新しく来てくれた人にどうやって楽しんでもらおうか、知ってもらおうか」と考えてはワクワクしていた。

研修期間の3日間のうち、2日目が僕の宿直の日で、夕飯担当だった。 その方は研修期間中一人でホテルと酒蔵を行ったり来たりしていたから、当然夕食もひとり。 本当は「よかったら、今晩鍋を作るので一緒に食べませんか?買ってきた食材が多すぎて食べきれないと思うので」 と言いたかったが、ぐっとこらえた。

それまでは普通に人として接していたから忘れていたが、彼女は国家公務員。 国家公務員は接待を受けてはならない、らしい。 それが、仕事で来ていて、しかも僕たちと利害関係があるからなおさら。

立場とか関係なしに誰とでも仲良くなりたい(ときに図々しいかもしれないが)、 と常々思っている僕にとって、現実とは厳しいなと思い知らされた瞬間だった。 楽しい食卓を共有できないのは寂しいけれど、しかたがない。

人として、職業人として。