演技としての接客業

「こんなことが求められるだろう」

というのを自分なりに想像し、演じる。

そういうことを考えれば、接客業は「演技」の仕事だ。

そんなことを、スタバの店員を見て思ったのだ。


飲食の接客業と言えば、きついことで有名だ。

シフトがきつきつで、お店によっては

わがままなお客を相手にしなければならない。

例え、気分が良くなくても、

笑顔を作らなければならないときもある。

それでも、振り返ってみれば

(組織との価値観の違いとか、卒業とか、

そういう理由で続けはしなかったが)

自分は接客の仕事そのものは結構楽しんでいた。

ある種のエキサイトメントを感じながらやっていた。

バースタイルのお店では、

カッコよくワインを注いでみたり、

グラスを拭いてみたり。

ホテルの食事会場のバイトでは、

スマートな「使用人」を演じてみたり。

そして、その演技の結果、

お客さんがどんな反応をするのか、

結果がすぐ目に見えるのが、面白かった。


ただ僕には分かっていても変わらない、

サービスマンとしては「△」な部分がある。

それは、

「必要な時に、必要なだけ」というポリシーが

相手にとっても当たり前だと思っていることだ。

つまり、相手の望むであろうことを先回りしてやる、

という考えが、本当に、演技の楽しさを持っていても、

頭に全くない。「自分のことは自分で」

ということを強く頭に持ってしまっているがゆえに、

「気の利かない」奴なのだ。


いくら上に「こうやれ」

指示されていることがあっても、

お客と自分との間、接客現場の、まさに「現場」は、

誰にも邪魔されない瞬間だ。

そこで自分の演技を「腕試し」するのは、

一つの楽しみだ。

・・・長続きさせるには体力と

それを超えたモチベーションが必要だけれども。