なぜ実務経験のないコンサルティングや支援が成り立つか?

支援やコンサルティングのまさにその現場は

支援者が専門知識を「授ける」場ではなく、

基本的にはクライアントの話を「聞く」場だとすれば、

実務経験のないコンサルタントや、

実際にやったことのない支援者が

支援・コンサルティングにあたることが可能になる、

その理由が説明できるのではないだろうか。


きっと経験があると思うが、

誰かに自分の考えを自分の言葉で話したり、

自分の言葉で説明したりすることで、

自分の考えは驚くほど整理される。

さらに、「何が分からないか」が明確になる。

支援者の言葉で、専門的な知識を授けられるよりも、

自分の言葉で話し、説明することは、

「次、自分は何をしたらよいのか」を知るのには

最適な手段だ。


ただし、「この人なら分かってもらえそう」

と思ってもらえないことには、クライアントは

支援者に十分に話ができないことで、

上手く情報を整理することができない。

そこでようやく役に立つのが、

「専門的知識を持っている」という事実や、

「あくまでも、あなたの考えを大切に、

話を聞くだけ聞きますよ。」という真摯な態度だ。


じゃあ、「専門的知識」はどうするか?

・・・支援者が積極的に授けるのではなく、

クライアントが必要としたときに、

必要なだけ引き出すことができるように、

それもまた、何かの媒体で

(検索できるテキストが望ましいか)

残しておく、というのはどうだろう。


「支援者の課題は、(クライアントの持つ) 関連する情報を循環させることである」

これは、『人を助けるとはどういうことか』という本に

書かれていた言葉だ。

問題解決の鍵はあくまでもクライアントが握っている。

クライアントの持っている情報をつなげ、

それを循環させることで、その鍵を、

あくまでも本人が自己の気づきにより、手に入れる。

それこそ、「自立」を終点とした支援になろう。

それなら、

支援やコンサルティングにおいて大事なのは、

「専門的知識を持っているか否か」ではなく、

「この人なら話しても大丈夫(積極的に話したい)」

と思ってもらい、「うまく相手に話させる」ことだと分かる。

専門的知識を持っているかどうかは、

相手が「この人なら話しても大丈夫」と思ってもらう

きっかけの一つにすぎないのだ。