酒のオフ・フレーバーと美味しいor不味い

酒を口に含んだ瞬間、 「あッ、生老(なまひね)香だなァ」と気づくことががしばしば。 (もちろん、その場合適切な温度管理が成されていない酒を 飲んでいるのだから当たり前と言えば当たり前)

※生老香(なまひねか)とは 火入れ(加熱処理)をしていない生酒(フレッシュさが特徴)を 冷蔵管理しなかったときに酒の中で酵素反応が進み、 イソバレルアルデヒドという物質が生じることに由来する、 「青臭」「未熟香」「ムレ香」などと呼ばれる香り。 僕は勝手にバナナチップスの臭いに近いと思っている。 バナナではなく、チップス。

酒造りに携わると、品質管理としての、 いわば「欠点探し」の利き酒を勉強することになる。 そうすると、いわゆるオフ・フレーバーと呼ばれる 良くないとされる風味を持つ酒はそのまま「良くない酒」という レッテルを貼られることになる。 それゆえ、「生老香のする酒=まずい酒」という等式が フッと頭をよぎるようになってしまった。

しかし、よく味わってみると、 その酒が美味しくないと言えばそうとも限らない。 もちろん、正しく冷蔵管理するに越したことはないが、 オフ・フレーバーがあるかどうかと不味いかどうかは、 完全に同じ話ではない。

食卓ではオフ・フレーバーがあっても美味しければいいし、 オフ・フレーバーがなくても美味しくなければ良くない。

生老香がある YES→で、美味しいの?→YES or No        NO→

みたいな。