『勤勉は美徳か?』

図書館に行ったとき、僕の目に訴えるようにして

飛び込んできたのが『勤勉は美徳か?』というタイトル。

「私生活を犠牲にしても、自分の健康を犠牲にしても、

仕事を中心に据えるのだ」という価値観を

「高度経済成長の負のレガシー」

と言い切ってしまっているところが痛快だ。

その一方、この本はヒルティの『幸福論』で提唱されている

「仕事の内側に入る」ことによって

(=仕事のどこかに自分の創造性を組み入れ、「作品」を作る)

労働者は幸福を得ることができる、ということや、

その精神的余裕を生むためには、

人生の時間の使い方のコントロール=「時間主権」

を回復する必要がある、ということが述べられている。

(もちろん、「勤勉が美徳」という意識はそう簡単には覆らないだろうが)

かなり乱暴に要約すると、

「休まない労働者に幸福はない」という見出しが

(休まない社会にも幸福はない、と付け加えたい)

この本のメッセージの大部分ではないだろうか。

「それでも休めないから困っているんだ、なめんな」という人は、

ちょっと読んでみてください。