「ベーシック・インカム」はそれぞれの心のなかに

いや、僕はむしろベーシックインカム制度には大賛成だ。

ただ、いま、この瞬間に限って言えば、

制度としての「ベーシックインカム」はまず成立しないと思ってしまった。


そもそもベーシックインカムとは何か?

wikipediaにはこうある。

ベーシックインカム(basic income)とは最低限所得保障の一種で、 政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに 必要とされている額の現金を無条件で定期的に支給するという構想。

出典-wikipedia

おそらく同じことに言及する記事がたくさんあると思うが、

問題は、

「最低限の生活を送るのに必要とされている額」

という部分だ。

ベーシックインカム」を日本に適用した場合、

その試算月額は5万円だったり、6万円だったり7万円だったりと

色々な意見がある。

問題は金額そのものではなく、

「これだけあげますよ」という額が明確であるのに対して、

「いくらあったらいいか」という額が不明確であるという点だ。

いま、とくに不自由なく生活を送っている人が

「いくらあったら大丈夫か」という下限ラインを把握していないし、

(いや究極は、

生きていさえすればオッケー=「ゼロ」だから

把握できっこない)

そもそも「いくらあったらいいか」は

価値観によって全く異なるからだ。

「これだけの金額があれば生活が成り立つダロウ?」

というのを「お上」が決めるのは傲慢だし、

決めることができたとしても、どうせそれは

「お上」の人たちからすれば「かわいそうな」生活を

送るのにちょっと毛が生えたくらいなんだろう。

そうじゃないと、間違いなく文句を言う労働者が出てくるから。

そうなると、もう金額設定の問題ではなくなってくる。


ベーシック・インカム制度」はグッドアイデアだと思う。

ただ、それぞれの心の中に持っておくことが大事。

それぞれが、

①「いくらあったらいいか」をだいたい把握し、

②だいたいその額だけ稼げる状況をつくる

という具合に、個人レベルで「ベーシック・インカム」の

ラインを持っておけば、

もし、時間を売るような働き方をしているのならば、

仕事との距離の置き方が分かってきて、

無用なトラブル、過剰な残業を避けることができるはず。

そうやってできた自分の時間で、

「自分の周りの人たちをチョット喜ばせる」

ことを積み重ねて、いざとなったら助けてもらえるような

いや、助けたくなるような存在になれれば。

信用をお金に頼ることからある程度シフトして、

自分が信用される人間に。