自分で気づき、チョットだけ、誰かの役に立つ

長野・諏訪地方で6年に一度行われる奇祭、「御柱祭」。 4月に行われた前半戦?の「山出し」に引き続き、5月には 後半戦の「里曳き」が行われる。

一ヶ月前の話だが、諏訪大社上社の「山出し」のこと。 巨大な丸太にまたがった男たちが柱もろとも豪快に坂を下る 「木落とし」は御柱祭のみどころの一つ。

僕は有料の桟敷席チケットを買っていなかったので、 人混みをかき分けて何とか木落としが見えるところに 入ることができた。

僕は足元には小さい女の子がいたのだが、 背が低いため木落としの様子は全く見えない。 お母さんと思しき女性も、さらに小さな子ども(弟)を 抱えていて、手が離せない様子だった。

僕は、「他人の子だし、勝手に持ちあげるのはどうかな」と 一瞬思ったが、退屈そうにしている女の子を見ていられず、 ひょいと持ち上げてあげた。

それまでは退屈そうにしていた女の子も、 木落としを見せたら、笑顔で「ありがとう」と言ってくれたのを 僕ははっきりと覚えている。 そんなことはお金になることでもないし、 彼女の母親から大して感謝されるでもなかったが、 「あぁ、おれは生きているな」という風に思った瞬間でもあった。