「自分で価値を作れる」人間は強い―「古本屋女子」に学ぶ―
『女子の古本屋』
今年最後の図書館開館日の閉館間際に
職員にせっつかれる雰囲気を感じながら
僕が手に取った本のタイトルだ。
この本は2008年に書かれたもので、
確かようやく「iPod touch」が出た頃で
まだまだガラケーが主流だったころだ。
ああ、だから何が言いたいかっていうと
「たった」8年前なのに今とは常識が異なる頃で
「古本を買う」という行為がもう少しアナログだった頃。
Amazonで1円+送料で買うなんてやってなかった頃だ。
僕はこの本を小説だと思って手に取ったけれども、
実際には古本屋を立ち上げた女子たちのことが
その背景から綴られている。
さて、僕はそもそも女子でなければ
古本屋になりたいわけでもない。
ただ、「古本屋」という空間には一種の
やすらぎのようなものを感じる性質ではある。
この本で一番いいなと思ったところはまとめにある。
色々長々と書いてきたが、 一番大切なのは「古本屋になる!」と 最初に決めてしまうことだと思う。 古本屋になる方法、と聞かれていつも思い出すのは、 田村治芳さんの言葉だ。 (中略) <いくら資本があれば古本屋ができるか、 という質問をされたら、そんなことを考えている奴は 古本屋にはなれない、と。 それこそ、一〇〇〇万円あればできるよ、 という言い方もあれば、 一〇〇万円あればできるという言い方も成立する。 要するに生き方の選別の問題になるんですよ。 自分は古本屋という道で生きるんだ、というね。 それしかない> (中略) 本書でご登場いただいた女性古本店主の方々は、 例外なく、「自分は古本屋という道で生きるんだ」 という決意で、この業界に飛び込んできた人ばかりだ。 決意の後に発生する膨大な雑事は、 決意の大きさにより乗り越えることができるはず。 「『価値あるもの』を買うのではなく、 『自分で価値を作れる』人間は強い」
いくら時が流れて常識が変わっても
この辺のことは変わらずにある、
と信じ、願っている。
一番大事なことははお金ではなく
あくまでその本質にこそ、という。