『紙の本は滅びない』

『紙の本は滅びない』という本を図書館で借りた。 ちょこっと読んだだけだと、筆者は「電子書籍vs紙の本」という 構図で話を進めているようだが、どうも 「ウェブ上に氾濫しているあらゆる情報vs紙の本」という風に 言った方が適切なんじゃないか、と思う記述がちらほら。

序盤の要旨は 「自分で適切な情報を拾い集めなければならないウェブ上に対し、 本は情報がコンパクトにまとまっているから良い」 というように受け取った。

確かに紙の本はそう簡単に滅びるとは思わない。 実際に僕もはじめてタブレットを手にした2012年を振り返ると 電子書籍アプリを持っているにも関わらず 紙の本を読みまくっていた。

当時はまず安価に大量の本を読むことが可能だった。 当時は東京で生活していたから、2、3の駅を行けば 大体ブックオフがあった。そして、一冊100円で たくさん本を買うことができた。

(古本屋では本という「モノ」が古くなれば安くなるが、 電子書籍版は情報が古くなってもあくまでも商品はデータ。 「モノ」が古くなることがなく、 昔の本でも安いとは限らない。定価のものもある。)

それに当時は大学生だったから、 どんどん気になる本を手にとって読んで、 自分で考えるトレーニングをする必要が今よりももっとあったのだ。

リアル本屋や図書館は、ネット上よりも 圧倒的にたくさんのタイトルに出会うことができる。 まるで、紙の辞書を引くように、 端末で検索した目的の本の隣にある本も面白いと思うかもしれない。

それから、調べたところによると、 Amazonkindleストアは2012年にオープンしたばかりで、 読める本の数もそう多くなかったはずだ。

それに対して今は、電子書籍を活用することが多い。

(もともと読書家ではなかった僕にとっては)たくさんの本を 大学生時代に読んだおかげで、自分の興味・関心に ある程度の方向性が出てきた。

すると、「これだ!(これは読みたい!)」と思える 本にネットや新聞その他メディアで出会うことがある。 その感覚のあるうちに、 ネット接続さえあれば瞬時にダウンロードして すぐに読むことができるというのは非常に大きなメリットだ。

もう一つ、僕にとっての大きなメリットがある。 こうして毎日ブログを更新している僕は、 しばしば読んだ本について書くことがある。 そんなとき、電子書籍版なら検索機能で 見返したいキーワードのかかれている箇所に一発で飛べる。 これは本当に電子書籍ならでは。

電子書籍を活用する機会が増えた、というだけで 僕は紙の本ももちろん活用している。

それぞれ長所が違うから、そもそも 世に溢れている「紙の本vs電子書籍」という 対立を持ち出すことそのものがナンセンスだとすら思う。

情報のまとまった「本」というものの形式のバリエーションが 増えたことは本好きにとって単純に喜ばしいことではないか。

最後まで読み進めないと分からないが、 僕は冒頭の本の筆者とは違う論点で、 「紙の本は滅びない」と思う。