長男ってなんだ

職場にいると、 「岡垣くんは長男なの?」と聞かれることがしばしばある。 それに対して「はい、そうです」と答えると、 「じゃあ、いずれは実家に戻らなきゃね」と言われる。

実家を離れて暮らしているからか、 こんな問答はこれまでに両手じゃ数えきれないほどあった。

職場の季節労働で来てくれている方々は、 多くの場合、農業をはじめ何かしら家業を持っている。 そういうわけで家を「継ぐ」という意識が強いのかもしれない。

サラリーマン家庭で育った僕は普段あまり意識しないことだが、 改めて、「長男とはなんだ?」という疑問が浮かんだ。 (ちなみに、姉・妹がいるので長男とは言えども二番目。)

そういえば、かつて父からこんな話をされた。

「いずれは墓を継いで欲しい」

「祖先信仰は守り続けて欲しい」

「(もし妹が結婚して姓を変えるなら、) この家系の『岡垣』姓は君しか継ぐことができない」

その時は「フンフン・・・」と適当に聞いていたが、 今思うと、やっぱり僕が長男であるということで、 少なくとも父は僕に「継ぐ」ということを望んでいるのかな、 と改めて思う。

それは「君は(そういう点で)特別だ」と言われているようで 嬉しいような気もすれば、なんだか知らないうちに でかいものを背負わされているような負担も感じる。

ちょっとネットで調べたら、「家を継ぐ」とは 建物としての「家」の他に、家系のもつ宗教観だとか、 先述の祖霊信仰だとか、そういうのを含むらしい。

ただ今は全くピンとこない。 将来僕がもし結婚して息子ができたとしたら、 そういうことを望むようになるのだろうか?

ただ僕は今たったの24歳で、これからどうなるか分からないし、 家庭も持っていないから、現実的に考えられないだけかもしれない。

家庭“問題”というには大袈裟な事情(?)だが、 世の中に長男がいる限り、こういうことはよくある話だと思う。