居場所のパラドックス

 日常的に頑張って羽ばたいている人が疲れた時に一休みできる止まり木のような「居場所」があるとする。そこを訪れる本人にとっては居心地が良いが、居心地が良いからこそ、そこに普段の人間関係を持ち込みたくなかったり、その場所が「隠れ家」であってほしいと思うあまり、他の人に入ってきて欲しくないと思ったりすることであえて自らその「居場所」を宣伝しない。「居場所」なる場所もまた、多くの人に利用されることでその社会的意義が認められたり実際に利益が生まれたりすることで存続できるのだが、利用者自身が必ずしも多くの人に利用されることを望んでいない。多くの人に利用されることでその場所が自分の居場所たり得なくなる可能性があるからだ。