本屋に長居できなかった。昔は好きだったのに。

会社のショップにあるイベントスペースでは、 その時々によって喫茶・古本屋などが出店・営業している。 今はブックカフェの期間だ。

昨日、仕事帰りに立ち寄ったのだが、僕はすぐに店を出た。 お店にはコーヒーの香りが漂っていて、とてもいい雰囲気だったし、 僕の興味のあるテーマの本もずらりとあった。 もともとそういうのが大好きだったのに、なぜか長居できなかった。

僕は去年の秋くらいから、電子書籍を読むようになった。 それはメインで使っている端末が7インチのタブレットだから、 ということもある。その他、いつでもどこでも読めるとか、 リアルの本を持ち歩かなくていいとか、そういうメリットを 気に入ってるとか、そういう理由もある。

しかし実は3年前にも7インチのタブレットを持っていたのに、 その当時電子書籍はほとんど使わなかった。

その時はページをめくる感じがあってこそ、 「あ、自分は読書をしているな」と感じられるのがよかったり、 同じ本を読むなら中古でリアルの本がよっぽど安く買えることが 純粋にいいと思っていたり。

そこから価値観の違いをもたらしたのは、 就職して一人暮らしを始めて 「モノを持たないこと」を意識するようになったこと。

モノがなければ、考えがスッキリする。 考えがスッキリすれば、自分なりにいいアウトプットが出せる。 それが快感でもある。だから、リアルの本が手元にないことは 今の僕にとってそれだけでひとつの価値になっている。

かくして今となっては、 たくさんの本が並んでいる書店・図書館に行くと、 「この膨大な数の本の中からお気に入りの一冊を探さなくちゃ」 というプレッシャーを感じるようになってしまった。

かつては様々なタイトルをナナメ読みしながら 新しい本と出会うことに楽しみを感じていたのに。

もちろん、電子書籍とリアル本屋では、 それぞれ別の楽しみ方がある。 リアル本屋に新しい本との出会いを求めにいく日が 僕にも再び訪れるかもしれない。