スタバでお勉強できなかった男の話

僕が今住んでいる部屋にはモノがほとんどない。 今後モノを増やす予定もない。 この殺風景こそが、気持ちをリセットさせてくれるからだ。

(ほんとはだめだろうからこっそりと行っている)宅録も、 ブログを書くのも、読書も、今ではだいたい自分の部屋で 完結する。そのスペースを確保するのにかかっている費用は 家賃だけだし、単身者にはちょっと広めのスペース(8.5帖) のおかげで圧迫されることもあまりない。

今では滅多にないが、 学生時代はよくカフェを利用していた。 わざわざ「利用」と言ったのは、主な目的がコーヒーではなく 勉強や読書、就職活動の書類作成などだったからだ。

僕は学生時代のほとんどが部活の寮生活だったし、

部活を引退してから卒業までの間は 父の住んでいる狭い1LDKに転がり込んだものだから、 (家賃を考えればこれらの選択は仕方がなかった)

どうしても「自分の」作業スペースが必要だったのだ。 (大学の図書館に辿り着くにも電車で1時間以上かかったから それだけで高いハードルだった。)

マクドナルドなら100円でコーヒーが飲める。 しかし残念ながら客層は騒がしい高校生や子供が多く、 あまり集中できる環境ではない。

それなら、と思って行ったスタバやドトールなら、 割りと静かな環境で(スタバは賑やかな外国人も多いかな) Wi-fiを使いながらゆっくり作業ができる。 しかし、一番安いドリップコーヒーでも300円。 マックの3倍だ。

なみに今は家で一杯15円の美味しいドリップコーヒーを飲む。 スタバで一杯飲むと、家で20杯コーヒーが飲める。(!!)

本当は場所代、と思って300円を払う。 だけれども、レジで行われた 「コーヒー一杯に対してそう安くない額を出している」 という事実が、かえって「良いアウトプットを出さなくては」 というプレッシャーに変わる時もある。

そんなプレッシャーを感じているうちに、 お店が混んできて、ついにパーソナルスペースにまで 人が入り込んでくる(隣の席に人が座る)。 さらにプレッシャーを感じる。

ちょっと気分転換に、と思って youtubeで作業用BGMを探しているうちに、 どんどんリンクをたどって目的と違う動画を見ている。 Wi-fi使い放題だしね。

そうして、いつのまにかその場所にいられなくなる。 300円出したのに、良いアウトプットが出なかった。 そんなガッカリ感が、また課題から僕を遠ざけた。

お店を出ると、そこには人がたくさん歩いている。

早く寮に、バイト先に、行かなくちゃいけないのに、 ホームで待たされる。

東京はたくさん電車が走っているから 10分も待たずに電車が来るのに、焦った気持ちでは その数分間が何倍にも感じられる。

ガッカリした気分のまま、電車に乗る。また、人がいる。