純粋に、おいしそうに、幸せそうに、飲めばいい。

「同世代の人が美味しい日本酒と出会うきっかけになれたら」 面接では言ったか言ってないか忘れたけれど、 そんな気持ちが僕を酒蔵に向かわせたのは確かである。

ただ、ここにきてふと 「どうしたらみんなに飲んでもらえるか」を働きかける方法を 考えることに「飽きた」と思った自分がいた。

協会誌をさかのぼると10年以上前から 「日本酒の消費が減少している」とか、 「若者の日本酒離れ」とか言われてきたらしい。 と言うことは、みんなが言う「日本酒離れ」というのは 識者たちが10年以上にも渡って取り組んできた問題であり、 それでも「日本酒離れ」と呼ばれているならば、 僕たちはもうあれこれ手を尽くす必要もないと思ったから。

そうした現状を無理に変えようとせず、「尊敬」するならば、 (=ありのままに見る。そして、 相手に「変わって欲しい」という働きかけを止める。) 今自分にできることはなんだろう?

「日本酒美味しいよ!飲もうよ!」と訴えるのではなく、 本当に心の底から「酒がウマい!」とか、 「酒のある食卓はこんなにも良い」というのを体現すること。

・・・そんな風に言ったらちょっと大げさだけど、 少なくとも、既に日本酒ファンの人たちが(宣伝とか考えずに) 純粋に、おいしそうに、楽しそうに、幸せそうに飲めばいい。

そしたらきっと「どれどれ、そんなにウマいって言うなら・・・」 となるはず。

日本酒が本当に好きで、知ってもらおうと思ったら、 周りがビールを飲もうと、ワインを飲もうと、 心から「日本酒を飲みたい」と思ったときは酒を頼めばいい。

そして、本当に幸せそうに、本当においしそうに飲む姿こそ、 イチバンの宣伝になろう。

今、若者に限らず「日本酒離れ」というのが現状だとすれば、 いま、それができていない。 そんな風にとることもできる。